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【小児矯正の内情】歯並びが悪いとむし歯になりやすいのか?
子どもの成長を見守る中で、親御さんにとって「歯の健康」は非常に大きな関心事ですよね。
「うちの子、ちょっと歯並びが悪いかな?」と気になったとき、多くの方がまず心配するのは「子供が成長していく過程での見た目の美しさへの懸念」かもしれません。
しかし、歯科医師や専門家が歯並び(咬合)を重視する最大の理由は、実は見た目以上に「むし歯や歯周病のリスク」があります。
なぜ歯並びが悪いと、一生懸命磨いているつもりでもむし歯になりやすいのでしょうか?
今回は、子どもの歯並びとむし歯の切っても切れない関係について、医学的な根拠に基づき詳しく解説します。
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Contents
1. 歯並びが悪いとむし歯になる「4つの理由」
歯並びが乱れている状態「ガタガタ(叢生)」は、お口の中に「むし歯の温床」を作ってしまうハンデを背負っているようなものです。
① 「歯ブラシの毛先」が届かない死角ができる
これが最もシンプルで最大の理由です。歯が重なり合っていたり、ねじれて生えていたりすると、どんなに丁寧にブラッシングをしても、歯ブラシの毛先が物理的に届きづらい「デッドスペース」が生まれます。
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重なり部分(重なり合った隙間):毛先が入りにくく、プラーク(歯垢)が溜まりやすいです。
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段差部分:歯の高さがバラバラだと、低い位置にある歯にブラシが当たりづらくなることがあります。
② 自浄作用(唾液の洗浄力)が働かない
私たちの口の中では、唾液が常に分泌され、食べカスや細菌を洗い流す「自浄作用」が働いています。しかし、歯並びが悪いと食べカスが複雑な隙間に挟まり込み、唾液の流れが遮断されがちになります。
その結果、特定の場所だけが唾液の自浄作用が行き届かず、歯の表面のエナメル質が溶け出す「脱灰(だっかい)」が進んでしまう可能性が高まります。
③ 歯垢(プラーク)が成熟しやすい
歯垢はただの汚れではなく、細菌の塊です。長時間除去されない歯垢は「バイオフィルム」という強力なバリアを作り、日ごろのお手入れ程度では落ちづらくなります。歯並びが悪い場所は歯ブラシでの清掃がしにくいため、このバイオフィルムが育ちやすく、むし歯になりやすい環境が整ってしまいます。
④ 食べカスが詰まりやすい(食片圧入)
歯と歯の間に適切な接触関係がないと、食事のたびに繊維質の食べ物などがグイグイと隙間に押し込まれます。これが歯茎を圧迫し、歯周病の原因になるだけでなく、歯の隣接面(横側)からむし歯を作る大きな原因になります。
2. 「口呼吸」が招くさらなるリスク
歯並びの問題、特に「出っ歯(上顎前突)」や「受け口(反対咬合)」があるお子さんに多いのが、「口呼吸(くちこきゅう)」の習慣です。これがむし歯リスクを劇的に跳ね上げます。
唾液の「再石灰化」を妨げる
本来、唾液には溶け出したエナメル質を修復する「再石灰化」という素晴らしい機能があります。
しかし、口呼吸で口の中が乾燥すると、唾液が蒸発してしまい、この修復機能が上手く働きづらくなります。乾燥したお口は、いわば「乾燥した大地」のようなもの。
汚れがこびりつきやすく、細菌が繁殖しやすい、むし歯菌にとって最高の環境になってしまうのです。
唇が自然と閉じることによる「自浄作用」の欠如
正しい歯並びであれば、唇が自然に閉じ、歯の表面を唾液で潤し、絶えず清浄に保ちます。
歯並びの影響で口が閉じにくい(口唇閉鎖不全)と、前歯が常に外気に晒され、前歯特有の「乾燥による歯垢の蓄積」が起きやすくなりむし歯の原因になる可能性が高まります。

3. 歯並びが悪いことによる「将来的な負の連鎖」
子どもの頃の歯並びの悪い状態を放置することは、単に「今のむし歯」だけでなく、将来にわたるお口のトラブルの種をまくことにも繋がります。
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詰め物・被せ物の寿命が短くなる:歯並びが悪いと日頃のお手入れの際に磨き残しが増え、むし歯の原因になりやすくなります。むし歯は詰め物や被せ物が外れる原因にもなりえます。また、かみ合わせが悪いと特定の歯に過度な負荷がかかる場合があります。こういう状態が続くと詰め物・被せ物の寿命を縮める原因になります。
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噛み合わせの負担が集中する:特定の歯だけに強い力がかかると、歯の表面に目に見えない微細なヒビ(マイクロクラック)が入ります。そこから菌が侵入し、むし歯になるケースも少なくありません。
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早期の歯周病リスク:10代後半から20代にかけて、重なり合った部分の歯茎が炎症を起こしやすくなり、若年性の歯周炎を引き起こすリスクが高まります。
4. 親ができる「予防と対策」のステップ
では、歯並びが気になり始めたら、どのような対策をとれば良いのでしょうか?
ステップ1:日頃のお手入れ道具を使い分ける
日頃のお手入れは歯ブラシ一本では限界があります。
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デンタルフロス:歯が重なっている部分は必須です。
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ワンタフトブラシ:毛先が尖った小さなブラシで、重なっている部分をピンポイントで磨きます。
ステップ2:プロによる歯のクリーニング(PMTC)
3ヶ月に1度は歯科医院で歯のクリーニングを行い、日頃のお手入れでは落とせないバイオフィルムをリセットしてもらいましょう。
また、歯科医院で歯にフッ素塗布を行うことで、歯をむし歯になりにくくします。
ステップ3:小児矯正(予防矯正)という選択肢
矯正治療は単に歯を綺麗に並べるだけでなく、「むし歯になりにくい環境を作るための矯正」でもあります。
子どもの時期(特に6歳〜12歳頃の混合歯列期)に顎の成長を促し、歯が並ぶスペースを作る「顎顔面矯正」などを行うことで、将来本格矯正治療を行った際の抜歯のリスクを減らしたり、ガタガタや重度の歯並びになる可能性を減らすこともできます。

まとめ:歯並びを整えることは「究極の予防」
「歯並びが悪い=むし歯になりやすい」という関係性は、単なる偶然ではなく、物理的・生理的な必然です。
子どもの歯並びを整えることは、美容整形的アプローチだけではありません。
それは、「一生涯、歯を失うリスクを最小限にするための先行投資」であり、お子さんへの最高のプレゼントの一つと言えるでしょう。
もし、お子さんの歯並びで気になることがあれば、「まだ乳歯があるから大丈夫」と先延ばしにせず、一度矯正相談を受けてみることをおすすめします。
早い段階でのアプローチが、結果的にお子さんの将来の負担(痛み、費用、時間)を大きく減らすことに繋がるからです。
当院では奈良県香芝市で矯正の無料相談を行っております。ぜひお気軽によしむらファミリー歯科へご相談ください。