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現代の子どもたちは歯科矯正が必要?顔の小型化と歯並びの密接な関係
近年、「最近の子は顔が小さい」「顎がシャープだ」という声をよく耳にします。
実際に統計的なデータを見ても、現代の子どもたちの顔面骨格、特に下顎のサイズが、数十年前と比較して小さくなる傾向にあることが示されています。
この「小顔化」の背景には、食生活の変化、生活環境の変化など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
特に、柔らかい食品が増えたことによる「咀嚼(そしゃく)回数の減少」は、顎の骨の正常な発育に大きな影響を与えていると考えられています。
しかし、顔が小さくなる一方で、歯の大きさ自体は遺伝的な要素が強く、劇的には変化していません。
ここに、現代の子どもたちの歯並びの問題が潜んでいます。
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Contents
「骨のサイズ<歯のサイズ」が生むミスマッチ
顔面骨格、すなわち顎の骨が十分に成長しないまま永久歯が生え揃う時期を迎えると、「歯を並べるためのスペース(顎のサイズ)」が「歯一本一本の大きさ」に対して不足するというミスマッチが生じます。
このミスマッチが、現代の子どもたちに多く見られる以下のような不正咬合(せいこうごう、悪い噛み合わせや歯並び)を引き起こす主な原因となっています。
1. 叢生(そうせい)— 歯がデコボコに生える状態
最も分かりやすい例が「叢生」、いわゆる乱杭歯(らんぐいば)や八重歯です。
歯が生えるスペースが足りないため、歯が押し合ったり、捻じれたり、重なり合ったりしてデコボコな状態になります。これは、顎の成長不足が直接的に影響している不正咬合です。
2. 上顎前突(じょうがくぜんとつ)— 出っ歯
下顎の成長が十分でない場合、相対的に上の顎が前に出ているように見え、「出っ歯」の状態になりやすくなります。
また、口呼吸や舌で歯を押す癖なども影響しますが、土台となる顎骨の成長不足が背景にあるケースは少なくありません。
3. 開咬(かいこう)— 奥歯で噛んでも前歯が開く状態
奥歯を噛み合わせても、上下の前歯が当たらない状態です。
これは、顎のサイズだけでなく、舌を前に突き出す癖(舌突出癖)や口呼吸が原因となることが多いですが、これらは顎の骨の正常な発育を妨げ、さらに歯並びを悪化させる一因となります。

矯正の「対象者」が増えている構造的な理由
「顔が小さいから」という理由は、見た目だけの問題ではなく、歯を正しく並べるための物理的な土台が不足していることを意味します。
この構造的な問題により、歯科矯正の対象となる子どもたちが結果的に増加しているのです。
昔のように硬いものをよく噛み、顎の骨が自然に大きく成長していれば、すべての歯が収まる十分なスペースが確保されました。
しかし、現代の生活環境では、顎の骨の成長を促す機会が減っているため、矯正治療によって人工的に顎の成長をサポートしたり、歯を並べるスペースを確保したりする必要性が高まっています。
歯科矯正は、単に歯をきれいに並べる美容的な側面だけでなく、以下のような機能的な健康維持に不可欠な役割を果たします。
- 咀嚼機能の改善: 食べ物をしっかり噛めるようになり、消化・吸収を助けます。
- 清掃性の向上: デコボコが解消され、歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病のリスクを減らします。
- 発音の改善: 正しい舌の動きをサポートし、発音をクリアにします。
- 顎関節への負担軽減: 正しい噛み合わせは顎関節の健康を保ちます。
早期発見・早期治療(一期治療)の重要性
現代の子どもたちの不正咬合の多くが、「顎の骨のサイズ」の問題に起因しているからこそ、小児期の矯正治療(一般的に6歳~10歳頃の成長期に行う「一期治療」)の重要性が増しています。
一期治療の最大の目的は、永久歯がきれいに生え揃うための土台作りです。
具体的には、矯正装置を用いて以下のようなアプローチを行います。
- 顎骨の成長促進: 装置を使用して、小さい顎の骨(特に上顎)を側方や前方に広げ、歯が並ぶためのスペースを確保します。
- 永久歯の生える方向の誘導: 適切にスペースを確保することで、これから生えてくる永久歯を正しい位置に誘導します。
- 悪習癖の改善: 口呼吸や舌突出癖など、歯並びを悪化させる原因となる癖を改善します。
この時期に顎のサイズを調整しておけば、将来的に永久歯が生え揃ってから行う本格的な矯正(二期治療)の際に、抜歯を避けられる可能性が高まります。
もし、顎の成長が止まってから(永久歯が生え揃ってから)矯正を始めると、スペース不足を解消するために健康な永久歯を抜歯する必要性が高くなってしまいます。

まとめ:小顔化の時代だからこそ歯並びのチェックを
現代の子どもの「顔が小さい」という傾向は、して喜ばしいことばかりではなく、歯科的な「顎のスペース不足」という課題を突きつけています。
この小顔化時代の流れの中で、お子様の歯並びや噛み合わせ、そして顎の成長に注意を払うことは、単なる美容ではなく、将来の健康を守るための重要な投資と言えます。
「うちの子はまだ大丈夫」と決めつけず、永久歯が生え始める6歳頃になったら、一度歯科医院で顎の発育状態や噛み合わせをチェックしてもらうことを強くおすすめします。
早期に適切な対応をすることで、お子様の「噛む力」と「笑顔」の未来を守りましょう。
奈良県香芝市で小児矯正をお考えであればよしむらファミリー歯科へご相談ください。